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COPDに対する酸素療法で求められる看護とは

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、呼吸不全をきたす代表的な疾患の1つです。ここでは、慢性呼吸不全をきたしたCOPD患者さんに在宅酸素療法を導入する場合の看護のポイントや、COPD増悪による急性呼吸不全に対して酸素療法を実施する場合の注意点について解説します。

医学的監修

公立陶生病院
呼吸器・アレルギー疾患内科/救急部集中治療室

横山俊樹 先生

COPD対する酸素療法の考え方

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、長期間の喫煙などが原因で肺に炎症が起こり、閉塞性換気障害が生じる疾患です。慢性呼吸不全を引き起こす疾患として、最も多くを占めています。

呼吸不全には、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が45mmHg(Torr)以下の型呼吸不全と、PaCO2が45mmHgを超える型呼吸不全がありますが、COPDでは空気を十分に吐き出せなくなるため、型呼吸不全をきたしやすくなります。

型呼吸不全に対して酸素療法を行う場合、特に注意すべきなのがCO2ナルコーシスです。慢性的な高二酸化炭素血症がある状態で高濃度の酸素を投与すると、呼吸が抑制され、CO2ナルコーシスに陥るおそれがあります。酸素を投与する際は、酸素化の状態のみならずpHやPaCO2をモニタリングし、患者さんの意識状態や呼吸状態をよく観察することが大切です。(CO2ナルコーシスについては「酸素療法で注意すべきCO2ナルコーシス」を参照してください)

COPDの在宅酸素療法

慢性呼吸不全の治療法の1つに、在宅酸素療法(HOT)があります。

HOTの適用基準

HOTが適用となるのは、動脈血酸素分圧(PaO2)が55mmHg以下の患者さん、およびPaO2 60mmHg以下で睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症をきたす患者さんです。パルスオキシメータによる経皮動脈血酸素飽和度(SpO2)で適用を判定することも認められており、PaO2 55mmHgはSpO2 88%、PaO2 60mmHgはSpO2 90%にほぼ相当します。

HOT導入時の酸素投与量の決め方

HOTを導⼊する際は、「安静時」「労作時」「睡眠時」のシーンごとに酸素投与量を決定する必要があります。

労作時の評価としては、医師や看護師が付き添ってSpO2を監視しながら6分間歩⾏試験などを⾏い、運動時にSpO2 90%以上を維持できる酸素投与量を決めますが、COPDの患者さんは動的肺過膨張などの影響も多いため、運動制限因子を評価・理解した上で、酸素投与などの介入が運動耐容能をどれだけ改善させているのか評価することも重要です。

また、睡眠時の低酸素血症については、夜間のSpO2の推移をモニタリングし、ターゲットレンジを維持できているかどうか、その結果として起床時に高二酸化炭素血症になっていないかなどを評価する必要があります。

労作時や睡眠時のSpO2低下の程度は⽣活環境などの条件が異なるだけで変わってくるため、各⽇常⽣活動作(ADL)において評価することが望ましいと考えられます。こうした評価を医師が全て担うのは困難なので、看護師や理学療法⼠、作業療法⼠と情報共有しながらより適切な酸素投与量を検討することが⼤切です。

在宅酸素療法の導入・継続に求められる看護

鼻カニュラや酸素ボンベを使うことの体裁の悪さや生活の煩わしさから、HOTを否定的に捉えてしまう患者さんは少なくありません。HOTに対するアドヒアランス*を向上させ、患者さんのセルフマネジメント能力を高めるには、患者さんとパートナーシップを築きながら支援を行うことが重要です。
*患者さんが積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること

HOT導入時の支援のポイント

生活者としての患者さんを理解する

  • 患者さんが病状やHOTをどのように捉えているのか把握する
  • 患者さんのライフヒストリーや病の体験から、価値観やアドヒアランスの障碍を理解する

病状とHOTの必要性の理解を促す

  • 病状と低酸素血症が身体に及ぼす影響を説明し、HOTの必要性の理解を深める

パートナーシップの認識を促す

  • 病気やHOTに対する患者さんの思いに共感しながら、HOTを生活に取り入れる方法を一緒に考える

テーラーメイドな指導を行う

  • 住まいの環境や患者さんが望む生活、
    認知機能などを把握する
  • 患者さんの受け入れ状況やセルフマネジメント能力を見極めながら知識・技術を提供する

(文献2より引用)

在宅で処方通りに酸素を使用してもらうには、HOT導入後も継続的にフォローしていくことが必要です。HOTを受け入れ、試行錯誤しながら生活に取り入れようとしている患者さんの努力を労い、患者さんの自己効力感を高めることがアドヒアランス向上のカギとなります。

また、HOTを実施する患者さんは多くが高齢者のため、難解な説明や機器の操作を苦手とする人が少なくありません。対話と観察を通じてセルフマネジメント状況をアセスメントし、定期的な指導と満足感なども含めた使用状況のチェックを行うことが大切です。

COPD急性増悪時の酸素療法

気道感染などによってCOPDが増悪すると、強い息切れや喘鳴、胸部の狭窄感、咳や喀痰の増加といった症状が現れます。急性呼吸不全を呈する場合は、速やかに酸素療法を開始し、低酸素症を是正する必要があります。

COPDの急性増悪の場合は、酸素化とともに換気状態に注意することが重要です。平常時からPaCO2が高い患者さんは多いため、PaCO2の絶対値よりpHに着目することがポイントです。pH≧7.35であれば比較的安定した状態と判断されますが、pH<7.25は急速な悪化を示しています。

酸素濃度は24%か28%で開始し、pH≧7.35ならSpO2が88~92%の範囲に維持されるよう管理します。酸素を投与してもpH<7.25に悪化する場合や呼吸状態が安定しない場合は、非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)や気管挿管を考慮する必要があります。

まとめ

  • COPDは型呼吸不全をきたしやすい。酸素療法を行う場合は、CO2ナルコーシスに注意する必要がある。
  • 慢性呼吸不全に対するHOT導入時の酸素投与量の評価は、医師と看護師や理学療法士、作業療法士が情報共有しながらより適切な酸素投与量を検討することが大切。
  • HOT導入時には患者さんとパートナーシップを築きながら支援を行うことが重要。処方された酸素流量を遵守するよう伝えるとともに、患者さんのセルフマネジメント能力を見極めながら、個々に合った知識・技術を提供する。
  • COPDの急性増悪による呼吸不全に対して酸素療法を行う場合は、pHに着目する。呼吸性アシドーシスが悪化するようならNPPVや気管挿管を考慮する。

【参考文献】

  • 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会, 日本呼吸器学会 編: 酸素療法マニュアル, メディカルレビュー社, 2017.
  • 竹川幸恵, 在宅酸素療法に対するアドヒアランスを維持しQOLを向上させる支援, Respiall通信Vol.4, アトムメディカル, 2021. 2
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