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低酸素血症の看護~低酸素血症とターゲットSpO2に基づく治療~

血液中の酸素が不足している、または不足していることが疑われる低酸素血症の患者さんは多くの場合、酸素投与が必要になります。ここでは低酸素血症の患者さんに適切に対応するための知識として、低酸素血症の定義や症状、酸素療法について紹介します。

医学的監修

公立陶生病院
呼吸器・アレルギー疾患内科/救急部集中治療室

横山俊樹 先生

低酸素血症とは?

低酸素血症とは、動脈血中の酸素が不足した状態をいいます。酸素を取り込む「呼吸」、酸素を運ぶ「血液」、血液を循環させるポンプの「心機能」のいずれかに異常が見られることが原因と推測されます。

低酸素血症の判断基準

動脈血酸素分圧(PaO2)が正常値よりも低下した状態(健常者のPaO2は90~100mmHg程度)

低酸素血症がどんどん悪化すると・・

動脈血中の酸素が不足していると呼吸回数や換気量が増え、呼吸困難や不整脈、意識障害などの症状となって表れます。
また、PaO2や経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)が下記の値まで低下すると、次のような症状が表れるといわれています。

PaO2 60mmHg /SpO2 90%・・・・息苦しさ、呼吸回数の増加(呼吸不全)
PaO2 40mmHg /SpO2 75%・・・・心虚血性変化(静脈血)、不整脈
PaO2 30mmHg /SpO2 60%・・・・意識障害、昏睡

低酸素血症患者への酸素療法はSpO2で管理する時代

低酸素血症が疑われる場合は酸素投与を検討します。低酸素血症患者への酸素療法の目的は、「動脈血酸素飽和度を上げて、各組織へ酸素を運ぶこと」と「心肺機能の仕事量を軽減させること」です。ただし、多くの酸素を投与すればよいわけではなく、患者さんの状態に合わせた適切な酸素流量で投与することが重要です。現在では、管理しやすい酸素療法の指標として「目標酸素飽和度(ターゲットSpO2)」が注目されています。

ターゲットSpO2とは、パルスオキシメータで測定したSpO2の値が、目標とする範囲内(ターゲットレンジ)に維持されるように酸素投与量を管理する方法です。
以前は医師から「マスクで酸素流量5L/min」など酸素流量で指示が出されることが一般的でしたが、最近では「SpO2を94~98%に保つ」といった指示をすることが増えています。ターゲットSpO2を採用すると、医療スタッフが医師に対してターゲットレンジから外れた際に、酸素流量変更の提案ができるメリットがあります。

ターゲットSpO2の目標値

基本的にはSpO2の値を、94~98%に安定させる。
COPDなどの型呼吸不全の患者さんは、SpO2 88~92%の維持を目指す。

ターゲットレンジは、基本的にはSpO2を94~98%に維持することを目標にします。
一方、二酸化炭素が蓄積しやすい慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの型呼吸不全の患者さんの場合は、高濃度酸素を投与すると呼吸抑制がかかり、CO2ナルコーシスの危険性が高まるため、SpO2は 88〜92%の維持を目標にします。
(CO2ナルコーシスについては、「 酸素療法で注意すべきCO2ナルコーシス」を参照してください)

※BTS(英国胸部学会)では92~96%とされるなど、各国のガイドラインによって目標値は様々であり、患者さんの状態や病態に応じて目標値は個々に設定するのがよいでしょう。

(参考)SpO2を99%・100%にしない理由

SpO2は100%の方がよいように思いますが、なぜ94~98%を目標にするのでしょうか。その理由は次の通りです。(文献2より引用)

SpO2を99%・100%にしない理由
  • SpO2が98%から100%に増加しても、血液中の酸素量はほとんど増加せず、組織の酸素化を改善させる効果は限定的。
  • PaO2が500mmHgから250mmHgに低下しても、SpO2が100%のままであるため、PaO2の低下に気付かず、異常の発見が遅れてしまう。
    つまり、ターゲットレンジの上限を98%に設定しておくと、PaO2が変化するとSpO2も低下するので、異常を早期に発見し素早く対応できる。

ターゲット SpO2 に基づく酸素療法の例(ターゲットレンジが94~98%の場合)

SpO2を99%・100%にしない理由

まとめ

  • 低酸素血症とは、動脈血中の酸素が不足した状態をいう。
  • 低酸素血症の判断基準は、動脈血酸素分圧(PaO2)が正常値よりも低下していること。
    (健常者のPaO2は90~100mmHg程度)
  • 低酸素血症患者への酸素療法は、患者さんの状態に合わせた適切な流量で酸素投与を行うことが重要。管理しやすい酸素療法の指標として「目標酸素飽和度(ターゲットSpO2)」が注目されている。

【参考文献】

  • 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会, 日本呼吸器学会編, 酸素療法マニュアル, メディカルレビュー社, 2017
  • 尾﨑孝平, ターゲットSpO2を活用しよう, Respiall通信Vol.1, アトムメディカル, 2019. 9

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