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酸素マスクなどデバイスの種類と特徴〜吸入酸素濃度の目安や注意点など〜

酸素療法デバイスには「低流量システム」と「高流量システム」があります。そのうち、低流量システムのデバイスは比較的安価で扱いやすいため、幅広く使用されています。ここでは低流量システムのデバイスを中心に、特徴や注意点を紹介します。

医学的監修

公立陶生病院
呼吸器・アレルギー疾患内科/救急部集中治療室

横山俊樹 先生

低流量システムのデバイス

低流量システムは、患者さんの1回換気量以下の酸素を供給し、不足分は外気を吸入することで補います。そのため、同じ酸素流量でも、患者さんの呼吸状態により吸入酸素濃度が変化するので注意が必要です。
低流量システムのデバイスには、鼻カニュラ、簡易酸素マスク、開放型酸素マスク(オープンフェースマスク)などがあります。

鼻カニュラの特徴

鼻カニュラは、鼻腔から酸素を供給するデバイスです。比較的コストが安く、簡単に扱え、患者さんの生活に制限が少ないことから広く使われています。

鼻カニュラ
鼻カニュラ

メリット

  • 酸素吸入しながら会話や飲食ができる
  • 装着時の不快感が少ない
  • 低濃度の酸素投与に適している

デメリット

  • 口呼吸している患者さんには適さない
  • 酸素流量6L/min以上で使用すると酸素ガスが鼻粘膜を刺激し、頭痛が起ったり、鼻粘膜が乾燥したりする
  • チューブが固いと耳介部に皮膚トラブルが起きる

酸素流量と吸入酸素濃度の目安、注意点など

鼻カニュラは、一般的に5L/min以下の酸素流量で使用します。吸入酸素濃度は、患者さんの1回換気量により変化するため、同じ酸素流量でも呼吸が浅い場合は吸入酸素濃度が高くなり,呼吸が深い場合は吸入酸素濃度が低くなります。

酸素流量 吸入酸素濃度の目安
1L/min 24%
2L/min 28%
3L/min 32%
4L/min 36%
5L/min 40%
6L/min 44%

(文献1より引用)

簡易酸素マスクの特徴

マスクで鼻と口を覆い酸素を供給するデバイスで、鼻カニュラより高濃度の酸素を投与できます。鼻カニュラと同様に広く使われています。

簡易酸素マスク
簡易酸素マスク

メリット

  • 鼻カニュラよりも高い吸入酸素濃度が得られる

デメリット

  • 口と鼻を覆うため圧迫感があり、食事の際はマスクを外す必要がある
  • PaCO2上昇の心配がある患者さんには使用できない
  • 5L/min以上の酸素を流さないと、呼気ガスを再呼吸する恐れがある
  • 呼吸抵抗が増す
  • 低濃度の酸素投与には適さない

酸素流量と吸入酸素濃度の目安、注意点など

マスク内に溜まった呼気ガスを再呼吸しないように、酸素流量は通常5L/min以上が推奨されています。そのため、吸入酸素濃度は40%以上になり,低濃度の酸素吸入には適していません。やむを得ず酸素流量5L/min以下で使用する場合は、PaCO2上昇に注意します。
吸入酸素濃度は患者さんの1回換気量により変化するため、正確には調節できません。

酸素流量 吸入酸素濃度の目安
5~6L/min 40%
6~7L/min 50%
7~8L/min 60%

(文献1より引用)

開放型酸素マスク(オープンフェースマスク)の特徴

2017年に改訂された「酸素療法マニュアル」に掲載された新しいデバイスです。
大きな開口部があるため呼気ガスがこもらず、息苦しさや圧迫感が少ないマスクです。

開放型酸素マスク(オープンフェースマスク)
開放型酸素マスク(オープンフェースマスク)

メリット

  • 大きな開口部があるため、息苦しさや圧迫感が少ない
  • 呼気ガスの貯留が起きにくいため、5L/min未満の酸素流量でも使用できる
  • マスクを着けたまま、ストローで水分を取ったり、吸引チューブで痰の吸引ができる

デメリット

  • 横からの風に弱い

酸素流量と吸入酸素濃度の目安、注意点など

簡易酸素マスクと同様に、吸入酸素濃度は患者さんの1回換気量により変化するため、正確には調節できません。呼気が開口部から排出されるので、少ない酸素流量でも呼気ガスの再呼吸を防ぐことができ、従来のデバイスと比べ幅広い酸素流量で使用が可能です。

酸素流量 吸入酸素濃度の目安
3L/min 40%
5L/min 50%
10L/min 60%

(文献1より引用)

リザーバ付酸素マスクの特徴

酸素を溜めるバッグが付いたリザーバシステムのマスクです。より高濃度の酸素投与をするときに使われます。
(リザーバシステムについては、「リザーバマスクを正しく使うために」を参照してください。)

リザーバ付酸素マスク
リザーバ付酸素マスク

メリット

  • 酸素チューブから流れる酸素とバッグ内に溜めた酸素を一緒に吸い込むため、高濃度の酸素が吸入できる

デメリット

  • 高濃度酸素を吸入させるので、長期間の使用には適さない
  • 酸素流量が少ないと、呼気ガスの再呼吸によりPaCO2が上昇する可能性がある
  • マスクが顔に密着していないと、吸入酸素濃度が低下する

酸素流量と吸入酸素濃度の目安、注意点など

マスク内に溜まった呼気ガスの再呼吸を防ぐため、酸素流量は6L/min以上で使用します。マスクを顔に密着させないと、バッグ内の酸素が充分に吸えなくなるため、吸入酸素濃度が低下します。

酸素流量 吸入酸素濃度の目安
6L/min 60%
7L/min 70%
8L/min 80%
9L/min 90%
10L/min 90%以上

(文献1より引用)

まとめ

  • 鼻カニュラは、低濃度の酸素投与に適しており、患者さんの生活に制限が少ないことから広く使われている。
  • 簡易酸素マスクは、5L/min以上の酸素を流さないと呼気ガスを再呼吸する恐れがある。
  • 開放型酸素マスクは、呼気ガスの貯留が起きにくいため、従来のデバイスに比べ幅広い酸素流量で使用できる。
  • リザーバ付酸素マスクは、より高濃度の酸素投与に使われるが、マスクが顔に密着していないと、吸入酸素濃度が低下する。

【参考文献】

  • 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会, 日本呼吸器学会編, 酸素療法マニュアル, メディカルレビュー社, 2017
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