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酸素濃度は高ければいい!? 気をつけたい酸素中毒

酸素は少ないより多いほうがましだと思われがちですが、多すぎる酸素はかえって害を及ぼすことがあります。ここでは、高濃度酸素を投与する際に注意すべき合併症の1つである酸素中毒について、その病態や臨床症状、予防のポイントを解説します。

医学的監修

公立陶生病院
呼吸器・アレルギー疾患内科/救急部集中治療室

横山俊樹 先生

酸素投与も“過ぎたるはなお及ばざるがごとし”!?

医療機関において、酸素療法は低酸素症に対する治療法として幅広く実施されていますが、いったん開始されるとある程度酸素化に余裕をもたせた状態で管理する傾向があります。その背景には、「酸素は足りないよりも多いほうが安心」という考え方があるのかもしれません。

しかし、低酸素症を改善できればそれで安心というわけではありません。なぜなら、多すぎる酸素はかえって身体に害を及ぼすことがあるからです。高濃度の酸素投与は、酸素中毒やCO2ナルコーシス、無気肺といった合併症を発症するおそれがあり、急性心筋梗塞や脳卒中でも過剰な酸素療法は予後を悪化させると報告されています。つまり、酸素投与も「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」で、多ければ安心というわけではないのです。 (CO2ナルコーシスについては「酸素療法で注意すべきCO2ナルコーシス」で詳しく解説していますので参照してください)

酸素中毒はなぜ起こる?

前述のとおり、酸素中毒は過剰な高濃度の酸素を投与する際に起こりうる合併症の1つです。酸素中毒とは、活性酸素によって気道や肺が障害されることをいいます。

ヒトの体内では絶えず活性酸素が発生していますが、身体に備わる抗酸化防御機構が働くため、通常は活性酸素による障害が生じることはありません。しかし、抗酸化防御機構の処理能力を上回る活性酸素が発生すると、細胞が障害されてしまいます。肺においては、投与した酸素濃度に比例して活性酸素が発生することが知られています。

酸素中毒の発生は酸素分圧(PO2)と吸入時間に影響されます。吸入気酸素濃度(FiO2)が上昇すれば、それに伴って肺胞気や血中、細胞でのPO2が上昇し、酸素中毒が生じますが、酸素中毒発生の閾値(FiO2と吸入時間)は明らかになっていません。

酸素中毒でみられる臨床症状とは

酸素中毒の初期には肺の間質に浮腫が生じ、この状態が続くと肺胞壁の肥厚や間質の線維化が起こります。終末期にはびまん性の線維化に至り、肺機能が極度に低下します。

酸素中毒の臨床症状としては、一般的に気管支炎のような症状がみられます。初期には吸気時の胸痛が現れ、進行すると呼気時にも胸痛がみられるようになり、進行性の咳も伴うようになります。こうした症状は酸素暴露から開放されれば通常は3日ほどで消失しますが、労作時の息切れは数日残ることがあります。

酸素中毒を予防するためのポイント

高濃度酸素投与による弊害を減らすには、不必要な酸素投与は避けるべきです。ただ、あまりに厳しすぎる制限は低酸素血症発生のリスクを高め、管理における負担も大きくなってしまいます。

ターゲットSpO2を活用して酸素投与を行う

FiO2がどの程度以上になると酸素中毒が発生するのかは明らかではありませんが、0.6以下であれば酸素中毒は生じにくいとされています。ただ、低流量デバイスを用いた場合、必ずしも酸素流量からFiO2を予測できるとは限りません。そのため、FiO2の目安式を使用するのではなく、経皮動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定し、SpO2が目標とする範囲内(ターゲットレンジ)に維持されるよう管理することが大切です。(ターゲットSpO2にもとづく酸素療法の考え方は「低酸素血症の看護」で詳しく解説していますので参照してください)

まとめ

  • 酸素投与も「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」。多すぎる酸素はかえって身体に害を及ぼすことがある。
  • 高濃度の酸素を投与し、抗酸化防御機構の処理能力を上回る活性酸素が発生すると、気道や肺が障害される「酸素中毒」が起こるおそれがある。
  • 低流量デバイスの場合は、必ずしも酸素流量からFiO2が予測できるとは限らないため、SpO2を測定し目標とする範囲内に維持されるように管理する。

【参考文献】

  • 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会, 日本呼吸器学会 編: 酸素療法マニュアル, メディカルレビュー社, 2017.
  • 尾原秀史ら, 日本臨床麻酔学会誌, 12: 329-337, 1992.
  • 四ノ宮成祥, 日高圧医誌, 32: 109-123, 1998.

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