PROJECT STORY

夢物語じゃなかった

宮崎県央エリアの21の産科施設にモニタリングシステムを納入し、
地域連携させるプロジェクトを成功させた2名の社員のストーリー。

福岡営業所
N.A
モニタリングシステム部
アプリケーション開発グループ 
課長補佐
K.A

PROLOGUE

宮崎県央エリアの全産科施設に
モニタリングシステムを設置し
地域連携ネットワークを構築

妊娠満22週から生後1週未満の周産期は、母子ともに異常を生じやすく、突発的な緊急事態が起こる可能性が高い時期。そのリスクを抑えるために、アトムメディカルでは分娩監視装置「アバロンシリーズ」を提供している。分娩時、赤ちゃんの心拍とお母さんのお腹の張り具合をモニタリングするシステムで、病院の先生や医療現場のスタッフがリアルタイムで母子の状態を確認するための装置。これにより緊急時にすぐに処置を行う事が出来る。

宮崎県央エリアに隣接する都城エリアでは、アトムメディカル製の分娩監視装置を使った地域連携ネットワークを既に構築していた。小さなクリニックでは処置が難しい危険な状態が起こった時も、総合病院でその母子の状態を同時にモニタリング出来るので、搬送時に迅速な処置が行える。これにより、母子の負担を最小限におさえると共に赤ちゃんの命を守る事が出来る。都城エリアでは都城医療センターが中心となり、エリア内の病院とクリニックに導入。周産期死亡率が全国的にみても低くなるなど、周産期医療が飛躍的に改善している。

(N.A)
最初は「出来たらいいな」みたいな、
夢物語じゃないですけど、
そんな立ち話から始まったんです。

きっかけは、宮崎市郡医師会病院の先生と看護師長さんとお話していた時の事です。「5年後に病院を移転するので分娩監視装置の更新と同時に都城エリア同様のネットワーク連携システムを、この病院のある宮崎の県央エリアにも導入したい」という事でした。その時は「出来たらいいな」くらいの感覚で先生はお話されていました。私も「出来るかな?出来たらいいな」くらいに思っていて、とりあえず実現可能かどうか、都城エリアで納入経験のある開発グループのK.Aさんに相談したんです。

(K.A)
普段は多くても月に5施設程度の導入ですが、
それが一度に21施設まとめて導入することに。
かなり大がかりな案件になると思いました。

通常、分娩監視システムを病院に導入する場合、営業担当が「病院の先生がこういうものを求めている」というご要望をヒアリングしてきて、その要件に合わせて開発グループがカスタマイズ。その後は営業担当が納入までを行うんですね。ただ、今回はエリア内の複数の病院でネットワーク化したいという事で、これはかなり大掛かりになるので一緒にやりましょう、となったわけです。都城エリアでの納入経験をもとに流れや、必要なタスクについてお話しました。N.Aさんがメインになってくれて、僕は後方支援していたという感じですね。実際に決まった時は、嬉しかったでしょ?

(N.A)
いやもう、「どう進めていこうか?」しか。
まだ担当を任されて間もない時だったので、
嬉しいとかそんなのよりも、出来るかなと不安でした。

K.Aさんに出来る事、出来ない事の小さな事から相談して、だんだん形になっていった感じです。まずはざっくりとした構成と金額を出してみました。結構な金額だったんですけれども、宮崎市郡医師会病院の先生のもとへ持っていくと同時に、都城エリアの導入にかかわっていた宮崎大学の先生にも相談したところ、補助金を申請しようという話になり、県庁や県医師会の職員の方々と一緒に準備を進めていきました。それが思いの他進んでいって。「補助金が取れた」という連絡を受けたのが2016年春。本当に申請が通ると思っていなかったので自分でもびっくりしました。「何から始めたらいいんだろう」みたいな。そこで、またK.Aさんに相談したんですね。

(K.A)
予算がとれた時は、本当にとって来たんだなと
思いました。正直、大変な事になるなと思いながら
順序を考えましたね。

私としてはとにかく無事に導入出来るよう、協力していこうという気持ちで本格的にシステム構築を始めました。導入予定の病院の方々を招いて、説明会を行い、どんな事が出来るようになるか、そのために病院ではどんな事が必要なのか、などを説明させていただきました。結果的に宮崎県央エリアの全産科施設、21施設への導入が決まっていったんです。

(N.A)
現状で診察ができている為、地域連携の
必要性を感じていないクリニックもあり、
メーカーの立場でご理解いただくには、
難しい場面もありました。

とにかく全産科施設に一軒一軒足を運んで丁寧に説明しました。そのうちに顔を覚えていただいて、それで達成出来たのだと思います。もちろん一人では到底無理だったので、色々な方にサポートもお願いしました。K.Aさんにも色々と相談したら、会社を巻き込んでくれたので。バックアップは凄かった。

(K.A)
何かあった時に
「この人なら協力したい」っていうの、
なんとなくありますよね?

N.Aさんにはそれがあって。それでも経験の少ない若手でここまで出来たのは、僕には想像つかないくらい苦労していると思います。N.Aさんが色々な人を巻き込みながら、スムーズに段取りしてくれたので、僕はとてもやりやすかったですよ。ただ、大変だったのは納期だよね。2017年4月に全ての産科施設に納入予定でしたが、3月、4月というのは納入が重なる繁忙期。そこに21施設の納入でしたから、かなり焦りましたね。3チームで同時に進行し、さらにメンテナンスのメンバーなども巻き込んで作業を行いました。結局、少し延びたのですが、それでもほぼ同時に全産科施設に納入しなければならなかったのでかなり大がかりなプロジェクトでしたね。

(N.A)
納入後、宮崎大学の学長先生に、冗談ですが
「N.Aシステムが出来たね」と言われた時は、
照れくさかったですが嬉しかったです。
もちろん、一人でやったわけではないので、
恐れ多いですけれど。

K.Aさんはじめみなさん頑張ってくださって、2017年7月には全ての産科施設に分娩監視装置を納入する事が出来ました。現在は県央エリアの21施設がネットワークを使い周産期医療の連携を行っています。実際に導入した産科施設からは良かった、楽になったと喜んでもらっています。後はしっかりサポートするしかないです。心を開いてくれた医療現場の皆様を裏切れないですから。

(K.A)
前任のベテラン社員に負けないくらい
担当病院の先生に信頼されていると思いますよ。

「人を巻き込む力」の強さを、今回とても感じましたね。部署間の連携をスムーズに図る事が出来ましたし、私のチームのメンバーもこのプロジェクトを通じてだいぶ頼もしくなってくれたんです。チームワークもよくなりましたね。みんなで大きな山を乗り越えたみたいな。

(N.A)
所長は「なんか、お祭りみたいだったね」と。
こんなに多くの人がかかわるプロジェクトは
なかなかないので。

納品の時には部署を跨いで10人以上のメンバーで泊まり込みの作業を行っていたので、ずっとごはんも一緒に食べながら一緒に過ごし、本当にたくさんの方に手伝っていただいて、感謝しています。僕自身もめったに出来ない貴重な経験をさせていただきました。プロジェクトが終わって一息つく間もなく、次は宮崎の別のエリアで同じシステムを導入したいというお声をいただき、そちらを進めています。この経験を活かして、アトムメディカル側からもっと良い提案が出来る様にしたいと思っています。

EPILOGUE

2017年7月、宮崎県央エリアの全産科施設(21施設)に分娩監視装置が設置され、地域連携ネットワークが始動している。その結果、先行し地域連携に取り組んでいた都城エリアと合わせ実績を上げ、地域連携の有効性が認められつつある。宮崎県の他エリア(県北エリア)でも今後、同システムの導入が決定した。分娩時緊急対応の必要性は、宮崎県に限る事ではない。今回のプロジェクトに取り組んだ2人の夢は、日本全国へとアトムメディカルの地域連携ネットワークを広げる事。夢の物語はまだ続いている。